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礒野 高明; 河野 勝己; 濱田 一弥; 松井 邦浩; 布谷 嘉彦; 原 英治*; 加藤 崇; 安藤 俊就*; 奥野 清; 坊野 敬昭*; et al.
Physica C, 392-396(Part2), p.1219 - 1224, 2003/10
核融合応用を目的として、4.2Kへの熱浸入の少ない60kA高温超伝導(HTS)電流リードの開発及び試験を行った。本HTS電流リードは、低熱浸入量だけではなく、事故時の安全性も考慮した設計となっている。HTS電流リードは、強制冷凍の銅リード部と伝導冷却のHTSリード部から構成される。HTSリード部は、288本の銀合金シース型Bi-2223テープをステンレスのチューブ上に円筒状に配置しており、自己磁場のテープに対して垂直な成分を減少させることにより、HTSの臨界電流の低下を抑える工夫を行っている。さらに銀合金として、熱伝導を減少させるため10%の金を含んだ銀を使用している。HTS部の直径は146mm,長さは300mmである。試験の結果、世界最高記録である60kA通電に成功した。この時の銅リード部の冷媒条件は入口温度20Kで冷媒流量3.2g/s,4.2Kへの熱浸入量は5.5Wであり、冷凍機電力としては従来の電流リードと比較して1/3まで減らすことができた。この結果により、核融合用大型HTS電流リードの技術が確立できた。
町田 昌彦; 板倉 充洋
Physica C, 392-396(1-4), p.331 - 335, 2003/10
最近、高温超伝導体における超伝導臨界温度以上での超伝導前駆現象が多くの注目を浴びている。しかしながら、多くの理論研究にもかかわらず、その理解は進んでいない。この状況は、高温超伝導体が強い電子相関を持つことから、確立した理論的枠組みが存在しないという事情が大きく関与していると考えられる。そこで、本研究では既に理論的に確立した時間依存のギンツブルクランダウ方程式の枠組みを用いて、上部臨界磁場以上での超伝導秩序パラメータのダイナミクスを大規模数値シミュレーションにより調べた。その結果、この方程式の枠組みの範囲でも超伝導揺らぎを含む系は安定な局所的超伝導状態を上部臨界磁場以上で示すことがわかった。この結果から、上記前駆現象は、高温超伝導体特有の強い電子相関とはあまり関係がなく強い超伝導揺らぎによる可能性が示されたことになる。また、上記結果は超伝導一般の現象の発見であり、全ての第二種型超伝導体において見いだされるものと考えられる。
小山 富男*; 町田 昌彦
Physica C, 392-396(1-4), p.145 - 148, 2003/10
最近、異方性の高い高温超伝導体の単結晶がc軸方向に積層したジョセフソン接合アレイであることが示されたが、Smを含む高温超伝導体の一種は、二つの種類のジョセフソン接合が交互に重なり合った構造を示すため、最近その光学特性を調べる多くの研究が行われている。しかしながら、未だ最も基本的特性である輸送特性、すなわち、電流電圧特性を調べる実験が行われていない。この状況を受け、発表者らは電流電圧特性を数値シミュレーションし実験結果の予測を行う。シミュレーション結果は、二つの接合アレイの交互交替型構造を反映し二種類の非線形局在モードが現れ、通常の高温超伝導体の電流電圧特性と違い多くの種類のブランチ構造が現れることがわかった。講演ではこの構造を反映したデバイス応用が可能であるかも議論する。